世界が耐えられなくなる、膀胱的に。

先日、海外からの帰りの機内で、些細なコトだがトイレに行く機会を逃し死にそうになった。そう、前もって行けば良かったし、タイミングをちゃんと見計らって行くべきだったが、片道7時間程度の、エコノミーの狭い座り心地の悪い座席で、前後左右から伝わってくる、訳の分からない会話のようなざわめきや残響を、聞いているような、しかしそうでないような、そんな心持ちでしばしの間ジッとしていたら、機会を完全に逃したのだった。

機内食が供されるタイミングや、それから空の食器を回収するタイミングや、一番窓側の座席という状況と、日本人なのか台湾人なのか韓国人なのかさっぱり判別のつかない周りの乗客たちや客室乗務員たちが醸しだす、ほんの少しだけ浮ついた苛立ちの空気とが、さらに機会を逸する遠因になっているようだった。

耳にくる気圧の変化。前方の赤子の泣き声。斜め後ろから漂ってくる臭い。時たま襲う浮遊感。首の痛み。遮光シールドから漏れる外界のコントラスト。目の痛み。鳴りやまないジェット。香水の香り。呟き声。自分の寝息。

主に膀胱を中心に、世界が破裂しそうだった。

好きになれないな。

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